「雪のように、さらさらとしていますね!」
いつもは感情を静かにする自分も、スタッフさん(以下 読みやすいようにスタッフと略す)に感激の言葉を向ける。
本日、田野畑村の塩作り体験に参加した。
1 田野畑村へ
ナビに導かれて、普代村のICを降りる。降りてからは、北山崎という地名の方へ車を走らせた。途中に、道の駅のような、きれいな青い波が際立つ浜辺を見つけてびっくりする。
その後、トンネルを数本くぐりぬけて、途中でかもしかに遭遇しながら、ドライブを楽しんだ。
ナビの言うとおりに行くと、番屋(漁師さんの小屋)が集まる建物が見えてくる。
2 塩作り
「こんにちは」
スタッフは笑顔で迎えてくれる。早速、車をおりて精算。1人で参加すると5000円で、のちの話を聞けば、払う金額が安すぎるくらいの労力がかかっていることが分かる。
まず、塩を濃縮した水面を見せてもらった。白く濁っているように見えて、すくってみると、下に塩の塊がある。
「薪をしたにいれてみますか」
塩をとるために海水を煮立たせるわけだが、火力には薪が使われている。
▼道の駅で買える田野畑ヨーグルト とても美味しい
2-1 条件
「田野畑は塩作りにいい地形なんですよ」
海水をいつもくみとっている場所に出向き、スタッフの説明をうける。田野畑の海はすぐに深くなるから、新鮮な海水がとれる。
他の地域では遠浅だったり、川水がまじる地形もあるから、田野畑の海は塩作りに適している。
2-2 蒔き割り
「薪割をしますね」
普段、スタッフは薪を機械で作っている。本日は、実際に斧で薪割をする機会をいただいた。
斧を持ち、いろいろな木に向かってうちつける。パかっと綺麗にわれるものもあったし、節が複雑なのもあって、難しい。
木にも、桜・ぶななど、塩作りには広葉樹が適しているらしく、針葉樹は油分が多いとのこと。木の香りもたたずまいも違うのは、おおのキャンパスの木工体験室でも体験できる。
薪の保存も、風通しのよいところだと薪の腐食を遅らせられる。海風に晒される海岸なら、好適。内陸でも風の強い場所があるし、参考になる。
2-3 歴史
次に、初めの塩作り場に戻る。
スタッフが塩の説明をしてくれた。田野畑は、海水がくみ取りやすい、たたら製鉄が発達していた、塩作りの火力となる薪が豊富にとれたことから、塩つくりが発達した。
生活物資を内陸からも仕入れるために、岩泉~盛岡まで、長い時間をかけて交易を行った。重い物資を運ぶとき、役に立ったのが「牛」だという。
牛は力も強く、内陸に向かう途中で、熊などの捕食者から身を守る存在でもあった。
2-4 塩
という歴史に感嘆しながら、塩作りは始まった。
まず、25%に濃縮した液から、塩をすくう。驚きなのが、この塩作りのために、スタッフが3~4日かけて濃縮した液という驚きだ。そりゃあ、5000円以上の労力が投入されている。払う金額も申し訳ないくらい、長い時間をかけた濃縮液を、体験に使わせていただく。濃縮する過程では、石膏ボードに使われる「石膏」が使われるとのこと。「あの石膏か!」と、いろんな点が繋がる。
塩を2すくいしたところで、手動で脱水する。脱水する過程では、「にがり」がとれ、お通じがよくなるとのこと。お腹の不調で悩んだことがある僕たちに朗報である。また、豆腐作りにも使われるから、洋野町の向田にある「豆風鈴」の豆腐が大好きな、僕の耳が話をすくいとる。
脱水した後は、フライパンで加熱して水を蒸発させる。
さらさらと、白くなってくると、本当に雪の用に、乾燥した初冬に降るさらさらとした雪のようで、内陸で生まれ育った僕の記憶を刺激した。
2-5 塩の世界
スタッフの塩の知識には圧倒された。能登半島や瀬戸内海は塩作りの歴史が古い。
「能登半島の、初めはしょっぱくて、後からくる甘みは忘れられませんね」
その言葉を聞いて、塩の奥深さを知った。
また、高知には、塩をビニールハウスで天日塩を作り、世界のシェフに販売する方もいらっしゃる。値段、1キロ100万。え???
塩にも、岩塩、天日塩、せんごう塩があり、日本の気候的に岩塩は存在せず、天日塩は作るのが困難。
その天日塩を作り、対価としてお金をもらっている人の存在を始めてしれた喜びがある。
塩作りは本当に楽しかった。学びもすごい。食に関わる子ども・大人、体験をすればなにかしら情動が豊かになる気分。
▼田野畑の隣の「野田村」も塩の産地、野田塩ソフトクリーム、塩南部せんべいアイスが絶品