「普通科」しか見えていない過去の自分に言いたいこと 岩手県高校進学  専門高校・学科

どこに進学しようかな

 そんなことも考えず、僕は父母の母校であり、地元の北上市にある普通科の高校に入った。今思えば、名前は「普通科」であったけれど、僕は今も普通とは何かが疑問であるし、よくわからない。

 とりあえず、岩手日報や県内の高校のSNSに目を通すと、こんなに面白い学校があるのかと、過去の無知であった自分がつらい。

1. 遠野緑峰高校

 去年の岩手日報に、農業クラブ全国大会の遠野緑峰高の栄光がのせられている。

 その活動を見ると、エゴマ(シソ科の植物、ゴマ科の植物ではない)の粉や葉を利用した商品開発を、高校生が行っている。

 「遠野エゴマ麺」を産業や行政と連携して開発し、市内8つの飲食店におろしているという。

「こんな化け物のようなすごいことを、高校生が中心になってやっているのか!?」

 このように、22で地域おこしに興味を抱き、それ以前は机上の勉強しかしてこなかった自分は思う。

 ここで、このプロジェクトを進めたのは遠野緑峰高校生産技術科という学科であり、専門高校であることに注目したい。

 ホームページを見たが、僕の通っていた高校とはスタイルが多少違くて、「なんか大学のような学びだな」と思った。

 僕自身、高校の時は何も考えずに普通科に進学したが、文部科学省の言う「広く基礎的な教養を身に着ける」という画一的な教育が合わない人だった。

 一方、大学院を退学してから岩手県で挑戦した「農業」はとても面白く、今後も地域おこしにつなげていきたいと考えている。

 このような、遠野緑峰高校での学びを知っていたら、過去の自分が変わったかもしれないと思うと、発信する意義があると思う。

2. 岩手県立高田高校

 県内には陸前高田市という市があって、そこに岩手県立高田高校はある。

 紹介したいのはある note の記事を読んだことがきっかけだ。

 最後の製パン実習というタイトルの記事では、高田高校の「海洋システム科」の説明を、ところどころに見ることができる。

 記事によると、「通常、パンの製造を行うのは食品科学コースの生徒ですが」と書いている。

「え、高校生でパン作りを体験できるの!?」

 このように、高校のとき、興味のない座って聞くだけの授業をこらえた過去の自分が驚いた。

 高田高校には、普通科と海洋システム科が併設されているらしく、海洋システム科の教育課程を見ると、水産について学ぶ時間があり、2・3年生からは水産に関する食品製造と資源増殖について学びを深める。

「専門的な教育、すごいいいな..」

 僕は大学で心理学を学び、それを仕事に活かしていくけれど、パンも好きである。そのため、就職(地域おこし協力隊)が決まるまでパン屋でアルバイトをしているのだが、それを高校の時に体験できる高田高校生が羨ましい。

 作ったパンは文化祭でも完売したとのことで、このイベントをどのように主催したのか、どのような団体や先生が入っているのかは、これから地域おこしをしていく自分にとって興味が湧く。

 

3. 高校で専門性を高めるメリット

 まず、大学や大学院で多少、心理学をかじってみると、汎用的な学習が向いている子どもと、専門的な学習が向いている子どもがいることに気づく

 それは、環境的な要因や生まれつきの気質など、いろんな要因はある。

 そこでは、専門的な技能や「好き」を高めることによって、それに付随した知識の吸収がはじまり、気づけば汎用的な学習になっていた、という事例によく出会う。

 例をあげると、仮名Aくんは、学校になじめなかったものの、支援学級での「植物との触れ合い」に興味を持ち、めきめきと栽培技術を習得するなど農業に驚くほどの関心を光らせ、農大に進学したという事例。

 農業を学んでいると気づくが、肥料や土づくり、自然の微生物の好む環境には酸性やアルカリ性があるといった、そこにある栄養分などの「化学・生物」の知識が伴う。また、農家のコミュニティを広げると、普通ならコミュニケーションをそんなに望まない人でも、農業の話(好きな話)は盛んにできるという「社会性の付与」も起こる。

 本を読んでいると、「この農家の人の表現がおもしろい」と辞書で言葉を検索したり、古来の農業を学ぶと「ここの古語の使いまわしおもしろい」などと、好きな専門分野が学びを広げていく。

 このように、自分が普通科の高校で、その教育システムがあまり合わないことを考えると、県内にこのような高校があることを知らなかった自分や、これから進学を目指す中学生にむけて文章を書こうと思った。

 あとは、その高校の特性を活かした関係人口の創出も、できるかもしれないなんて考えた。