関係人口(定住未満、旅行以上)という言葉が注目されているが、そのイト(きっかけ)を探っていきたい。
Peatixという、イベントを募集・参加できるプラットフォームがある。そこで、地域おこし協力隊の現隊員の方の話を聞ける。検索で「地域おこし」と検索すると、そのようなイベントが出てくる。
そのようなイベントに参加しまくっているのだが、イトを探り当てるきっかけになる。
1. 多様なイト
「なぜその土地で働きたいと思ったのですか?」
この問いかけを、よく司会者が隊員に投げかける。
「登山したことがきっかけで、土地の素晴らしさに触れた」(群馬の隊員)
「移住・農業の体験ツアーでもらったかぼちゃの美味しさに驚愕した」(栃木の隊員)
「幼少の頃の田舎留学がきっかけで、その土地の人に恩返ししたいと思った」(京都経営者)
このように、各人のイトをたぐると、そこに共通する抽象的な何かを見出せる。
2. 抽象
どの人も、移住のイトは、その地に五感で触れ合った体験があることだ。どんなにインターネットやテレビが発達しても、そこで見た風景は一過性の記憶で終わる確率が高い。
それを、どのように関係人口に繋げるかが大切で、おそらくどの移住者も、メディアや行政が伝える当たり障りのない良さというよりは、自分の中の軸が揺り動かされた経験がイトとなる。
登山がきっかけだったのも、その方は元々登山が好きだった。かぼちゃに感激した人も、農家を志していた。そして、田舎留学の方も、集団に馴染めない背景があり、その土地の活動にひかれた。
これらを踏まえると、イトというものは、各々の五感・好き・個性にアプローチした結果、その土地への愛着が育まれたと考えられる。
そう考えると、コンテンツを作るときも、その町の当たり障りのない浅く広いコンテンツよりも、特定の好きや個性に集中したコンテンツを作ることが大切になってくる。
また、その地に移住するきっかけは「雇用があるから」という前提に立つと、移住者が仕事をすることが前提の地域おこし協力隊制度がイトになり得るし、移住者が働くことが前提の雇用を積極的に支援する民間の存在が、イトの創出を促すのだろう。
これからも色々な人のイトを聞いていきたいし、それを統計的に研究としても調べたいと考えている。
