一戸町の公営塾の視察と地域おこし協力隊との交流 岩手県一戸町

 今回は、一戸町にある公営塾の見学と、一戸町地域おこし協力隊のお話を聞きにいきました。まず、一戸地区センターに集合します。

 オフィスでお話(自己紹介、公営塾運営について地域の声と隊員の活動目標、使っているテキストや学習内容について)をした後、公営塾を行う図書館へ移動。

 まず、公営塾とは、行政のお金を使って運営される塾のことです。個人が開いている私的な塾や、企業が開いている営利の塾とは少し違います。

1. 公営塾の中

 一戸町の公営塾には、4人の地域おこし協力隊が携わっていました。皆さんの経緯は様々で、一戸町出身の方が3人いるということで、公営塾運営と地域おこし協力隊制度によるUターン創出の可能性を感じます。

 使っているテキストは、国語・算数・英語で、自主学習的な学習方法でした。

 民間の塾との競合もなく、地域の反応も良いとのことです。一方、そのようなテキストによる学習が、未来の子どものためになっているのかという疑問を抱いている方もいました。

2. 小学生の様子

 小学生は、入るとすぐに自分の課題やテキストを初め、初めて見る大人にも注意をそらす回数も少ないです。

このように、5~6年かけて公営塾における勉強が習慣化していました。

 また、学びの時間というように、テキスト学習の後に「自分の好きなもの」を選択していき、グループを作る・分断していくというゲームがありました。

最後に、「このように好きなものがそれぞれ違う人が集団の中にいる」という先生の語りに学生は耳を傾けています。

 この多様性を学ぶ時間は学校やテキストの勉強だけでは得られない、子どもの心を育む時間だと感じました。

 公営でやっている分、保護者の負担も少なく、雇用も生み出す可能性もあります。

 また、文部科学省の学校教育法に準じた正規の学校法人「きのくに子どもの村学園」の体験活動や演劇といった学びも、公営塾の中で取り入れられる可能性を感じました。

3. 公営塾 感動

 公営塾運営によって、未来の地方を担う学生(人的資源)の活性化に繋がります。公営塾で学んだ学生が、大人となり、Uターンをして帰ってくれば、地元に幼少のころの学びを経済的に還元する可能性があります(協力隊の方がやっているように)。

 事実として、公営塾に携わる地域おこし協力隊の3名は、千葉、東京、盛岡から20~40代でUターンし、他地域で学んだことを一戸の子どもに還元していました。

 このように多様な生き方をした大人と交流した経験は、若者のキャリア選択の幅を広げ、多様な産業で活躍する可能性を高めます。結果として、地域おこしにつながると考えると、長期的な視点で公費を若い世代に使う有効性を感じました。