小説 ヒロノジンになりました 転出届忘れ、木工ヒロノット

転出届け していなかった.. 市役所の写真

出身の市役所で、転出の手続きをしていないと、転入の手続きはできませんよ

え、そうなんですか

 洋野町市役所に出向き、早速、転入の手続きをする。横の長い紙に、氏名・元住所・新しい住所を書いて受付に出すと、そう教えられる。

 地域おこし協力隊になったときは、新しくその土地へ住所を移す。僕の場合、岩手県の北上市から洋野町に移す作業が必要だ。

 その手続きは初めてで、「行けばなんとかなるだろう」と思っていたけれど、住所を変えるには、元いた土地の市役所に「転出(「住所を移動しますよ」という届け出))」をしなければならない。このように、手続きについて学ぶことができた。

木工 ヒロノット

「こんにちは」

 木のふんわりとした匂いが漂う木工室にいたのは、木工をテーマとする活動をする地域おこし協力隊のBさんだった。洋野町の元宿戸中学校を改修した「ヒロノット」という施設がある。

 その中の木工室にBさんはいた。活動3年目の協力隊の先輩で、洋野町にいる木工職人に教えてもらいながらスプーンなどの木工品を作っているという。

 机には、艶やかなスプーンが並べられて、「これで食事をとれば、どんなにご飯が美味しいだろう」と想像する。中には、木面に自然の松ぼっくりとボタン、色がついた糸を使ったアート作品も並んでいた。

「すごい、綺麗だな..」

 自然と人工物の調和に圧倒され、心が奪われる。

「ここを借りるのもお金がかかるんだよね。十分な設備をもっと揃えたい」

 元学校ということもあり、設備も専業の職人の工房には及ばないという。しかし、「ここすごい」と、素人の自分でも分かるほどの木工品が並べられた工房を見ると、その活動をさらに知りたくなる。

 聞いてみると、木工において小学生に向けたイベントや体験会をしているという。そんな先輩の話を聞いていると、木工の奥深さに触れることができた。